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東京高等裁判所 昭和24年(新を)2340号 判決 1950年3月09日

被告人

虻川鶴之助

主文

本件控訴はこれを棄却する。

当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

弁護人渡辺吉男の控訴趣意第一点及第二点について。

(イ)  所論は要するに、原審における押収手続に違法があると主張するのであるが、所論の金千円の領収証、住宅貸付書二通、及び西浦と刻せる印については、適法な証拠調がなされていることは本件記録上明らかであり、押収品はその押収手続に違法の点があつてもその証拠能力には影響を及ぼさないと解すべきである(昭和二四年十二月十三日最高裁判所第一小法廷判決参照)から、仮に原審の右物件に対する押収手続に所論のような違法があつたとしても、原審がこれを証拠に供した判示事実を認定したことは違法ではなく、所論のような違法は判決に影響を及ぼさないことは明白であるから論旨はいずれも理由がない。尚論旨第一点は、領置は押収でないと主張するのであるが、右は押収の観念を誤解した所論であつて採用に値しない。

同第三点について。

(ロ)  没収は、刑法第十九条所定の条件を備える物件については、裁判所がこれを押収したものであると否とを問わずその言渡をなしうるものである(昭和二五年一月二六日東京高等裁判所第十二刑事部判決参照)から、仮に原審の押収手続に何等かの瑕疵があつても、これを没収した原判決には所論のような違法があるとは云えない。よつて本論旨もまた理由がない。

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